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道Nihongo Path

評論 — 値札は語る

Time limit 10 min

By Nihongo PathUpdated

Strategy notes: read these before the passage

  • Before answering, fix what 前者/後者 refer to: 前者 = 「コスト転嫁」, 後者 = 「品質向上に伴う改定」.
  • The final paragraph pre-empts a misreading (企業が消費者を操っている) and states the real thesis after むしろ逆で. Read that sentence carefully.
  • Examples (老舗菓子店) support the sentence just before them; ask what claim the example illustrates.

Passage

「原材料価格の高騰(こうとう)により、誠に不本意ながら」——値上げの告知文は、判で押したようにこの句で始まる。企業は値上げを、自らの意思ではなく外部から強いられた不可抗力(ふかこうりょく)として語る。興味深いのは、値下げの際にこの語法(ごほう)が決して使われないことである。値下げは「企業努力の成果」として、誇らしげに語られる。

価格とは本来、需要と供給の均衡点(きんこうてん)を示す中立的な数値であるはずだ。しかし現実の価格は、それを告げる言葉と切り離せない。同じ十パーセントの値上げでも、「コスト転嫁」と説明されるか、「品質向上に伴う改定」と説明されるかで、消費者の受け止め方はまるで異なる。前者は同情を、後者は疑念を招く。企業がこれを知り尽くしているからこそ、告知文の語彙は入念(にゅうねん)に選ばれる。

経済学の教科書は、こうした「語り」を分析の外に置いてきた。価格は数字であり、言葉は雑音(ざつおん)だと。だが、消費者が反応しているのは数字だけではない。値上げを「裏切り」と感じるか「やむを得ない」と感じるかは、その企業がそれまで積み上げてきた信頼と、告知の言葉遣いとに左右される。ある老舗(しにせ)菓子店が二十年ぶりの値上げを「これまで据え置いてきた理由」から語り起こして客に受け入れられたのは、その典型である。

私が言いたいのは、企業が言葉で消費者を操っているということではない。むしろ逆で、価格が純粋な数字であったことなど一度もない、ということだ。市場は計算の場である以前に、語りの場である。値札(ねふだ)の数字を読むとき、私たちはつねに、その数字がどう語られたかを一緒に読んでいる。

Vocabulary in this passage

高騰こうとう
sharp rise (in prices)
不本意ながらふほんいながら
reluctantly
判で押したようにはんでおしたように
as if stamped; identically
不可抗力ふかこうりょく
force majeure
語法ごほう
phrasing, usage
均衡点きんこうてん
equilibrium point
転嫁てんか
passing on (costs)
疑念ぎねん
suspicion
入念ににゅうねんに
carefully
雑音ざつおん
noise
据え置くすえおく
to leave unchanged
操るあやつる
to manipulate

Questions

Ready

10:00

of 10:00

Question 1

Choose the best answer

値上げと値下げの語られ方について、筆者が「興味深い」と言うのはどんな点か。

Question 2

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「前者は同情を、後者は疑念を招く」の「前者」「後者」はそれぞれ何を指すか。

Question 3

Choose the best answer

経済学の教科書が「語り」を分析の外に置いてきたのはなぜだと筆者は言うか。

Question 4

Choose the best answer

老舗菓子店の例は、どのような主張を裏づけるために挙げられているか。

Question 5

Choose the best answer

筆者の主張として最も適切なものはどれか。

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